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中小にメリット制拡大/労災保険、4月から大幅に変更

【建設通信新聞  2011年 12月 21日 記事掲載 】

 

  2012年4月から、労災事故がなかった場合に労災保険料が減額される『労災保険メリット制』の地方建設業への適用拡大が確実になった。また、これまで大手建設業団体が極端に高い労災保険料率の是正を求めてきた「水力発電、ずい道等新設事業」も1000分の14を引き下げ、1000分の89になる。建設事業の労災保険料算定に必要なもう一つの料率である労務費率も一部業種を除き1%引き下げられることで、大手建設業が受注するトンネル工事などの労災保険料は大幅に軽減される。ただメリット制拡大は事故が起きればメリット幅に応じて負担増になるため、一層の労災防止策が必要になる。


  厚生労働省は、12年4月から企業に義務付けている労災保険料率を平均で1000分の5.4から、1000分の4.8に、1000分の0.6引き下げることと過去3年間の事故有無によって労災保険料の増減幅がある、「メリット制」拡大を骨子とした労災保険見直しを決めた。


  来年4月から中小建設業にも拡大する労災保険メリット制は、一定の要件を満たした建設業が支払う労災保険料が、過去3年間の労災事故の有無と事故内容に応じて、設定された増減幅に応じて、支払った労災保険料の一部が還付または追徴される仕組み。


  具体的なメリット制拡大は、メリット率プラスマイナス40%のメリット制が単独工事で適用される「単独有期事業」で確定保険料100万円以上を40万円以上に大幅に引き下げた。


  また、中小規模の工事をひとまとめにしてメリット制を受ける場合、確定保険料100万円以上の場合は従来どおりメリット率プラスマイナス40%にした上で、年間確定保険料が40万円以上100万円未満のケースでメリット率プラスマイナス30%の新たなメリット枠を創設する。


  要件の確定保険料とは、建設業が重層構造化していることから末端までの労働者支払い賃金総額を明確に把握できないため、請負金額に建設8事業ごとに設定された保険料率と労務費率を掛け合わせた金額。建設事業で件数の多い「建築業」では従来の年間保険料が41万円で過去3年間無事故の場合、メリット制拡大によって、確定保険料は11万7000円減の29万3000円に抑えられる。


  安全管理体制を徹底させている中小建設業にとって、労災保険料の負担軽減につながるメリット制拡大は、厚労省労働政策審議会部会で、今春から検討していた。


  全国建設業協会など地方建設業界を始め建設業界は当初、メリット制を拡大すると全体の労災保険料減収を解消するために、保険料を引き上げ業界全体の負担増になることに警戒感があった。ただ最終的に、建設8事業のうち、来年4月からの改定で保険料率が1000分の1アップするのは「道路新設事業」と「既設建築物設備工事業」の2業種にとどまった。確定保険料に影響を与えるもう一方の算定式である労務費率は、従来どおりにとどまった「建築事業」と「既設建築物設備工事業」以外は2%から1%引き下げられた。


  厚労省は3年に一度、労災保険料とメリット制を見直してきた。建設業界でも大手建設業団体がメリット制をプラスマイナス30%から同40%に引き上げることを求め続け、全建が大手団体と共同歩調を取り始めたことで、35%、40%と引き上げられた経緯がある。


  全建は、メリット制が中小建設業にも拡大する可能性が高いことを踏まえ、今後さまざまな場面で、来年4月からの労災保険料率引き下げとメリット制適用対象拡大について会員に説明していく予定。

 
 
 
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