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中小の債務免除増加/第二会社方式で企業再生/円滑化法終了控え出口戦略

【同業他社は本音で不満も】

 

【建設通信新聞  2012年  9月 27日 記事掲載 】

 

 中小建設業の中で、金融機関が事実上の債務免除を受け入れることで、不良債権を切り離して企業再生を目指す「第二会社方式」を導入するケースが再び増え始めている。景気低迷下で、中小企業の資金繰りと経営悪化を防ぐ下支えをしてきた、「中小企業金融円滑化法(円滑化法)」を、政府が2013年3月末で打ち切ることへの対応策で、今年度から中小企業の再編・再生を目指す出口戦略の一環とみられる。ただ同業他社の中には、これまで根強くあった債務免除で経営体質が強化された企業が増え、受注競争に参加することへの不満が、今後さらに強まる可能性もある。


  中小建設業の第二会社方式導入増加は、中小企業庁がまとめた、「12年度第1四半期(4?6月)の中小企業再生支援協議会活動状況」で浮き彫りになった。


  具体的には、今年度第1四半期に再生計画策定支援を完了したのは58件で、建設業は10件だった。またこのうち実質的な債務超過の解消や、3年以内の黒字転換など数値基準をクリアした案件は35件、建設業は6件で2割弱を占めた。


  金融機関が積極的に再生計画に関与し数値基準をクリアした35件のうち、第二会社方式が適用されたのは6件。建設業は半分の3件だった。四半期ごとの集計で建設業の第二会社方式が3件と半数を占めるのは珍しい。


  第二会社方式が適用された建設業は、売上高が20億円、11億円、3億円弱の3社。3社とも、経営者の交代や私財提供などの経営者責任を取ったことで、事実上の債務免除が認められた。


  第二会社方式とは、中小企業向けの再生支援の金融手法である「譲渡・分割+清算」手法を使って事業再生する場合に、建設業許可などの事業承継や税負担、低利融資などの支援を受けられる枠組みの総称。


  具体的には、土木・建築・不動産など地方の中小建設業が抱える複数の事業のうち、不採算事業を分離し、過剰債務の会社と、収益性のある事業会社に分割。過剰債務会社は一定期間後に清算する仕組み。企業にとっては過剰債務の免除に、今後もその企業を支援する金融機関にとっては不良債権の確定・処理することで、再生企業に融資しやすくなる。


  過去には、建設業界でも全国ゼネコンが同様の手法を使って事業再生したケースがある。また中小企業向け再生の金融支援では、債務の株式化(DES)や債務の劣後ローン化(DDS)など全国ゼネコンが導入したケースも含め、法改正をして中小企業でも導入が認められるようになっていた。


  第二会社方式の適用企業は、03年度から始まった中小企業再生支援協議会による再生支援に基づく累積の再生計画策定完了案件3258件のうち、348件と1割強を占めている。このうち建設業は20件強とみられる。


  ただ、事実上の債務免除を受ける中小企業が今後さらに増加すれば、一方で市場が縮小し競争激化が続く地方建設業界から反発が強まる可能性もある。


  債務免除を受けた会員企業を抱える県建設業協会幹部は、「多くの企業は債務免除を受けられない。一部企業が身軽(債務免除で経営体質が強化される)になって、同じ土俵で競争することには不満があるのは事実」と話す。

 
 
 
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