【建設工業新聞
7月 1日 記事掲載】
国土交通省は6月30日、工事への専任配置が必要な監理技術者や主任技術者の現場常駐期間について、運用をより明確化する通達を出し、公共発注機関などに適正運用を要請するとともに、建設業団体にも周知した。請負契約の締結から現場で施工に着手するまでの期間や、完成検査を終えて後片付けだけが残っている期間には、現場への常駐は不要であることをあらためて明示。設計図書にも常駐不要期間を明記するよう求め、記載例を示した。工場製作を含む工事全般について、工場製作だけを行っている期間は現場常駐が不要なことも明確化した。
建設業法では、公共性のある施設などで請負金額が2500万円以上(建築一式工事は5000万円以上)の建設工事について、監理技術者や主任技術者を専任配置することを義務付けている。ただ実際には、近隣調整などの影響で請負契約後に直ちに着工できないケースなどもあり、こうした場合にまで工事現場への専任技術者の常駐を求めるのは合理的ではないことから、契約から現場で施工に着手するまでの間や、完成後に検査が終了して、後片付けなどだけが残っている期間は常駐を求めていない。
国交省の「監理技術者制度運用マニュアル」にこれらは明記されているが、発注機関によってはこうした期間にも常駐を求めているとの指摘があるため、同省は、仕様書や現場説明書に常駐不要期間を明記し、請負業者に過剰な要求をすることがないよう発注機関に要請することにした。通達では、現場施工の着手日が決まっていない場合でも、後日の打ち合わせで着手日を定めるとした上で、「請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間は専任を要しない」旨を明記するよう求めた。ただし、あくまでも工事現場への常駐を不要としただけで、工事への専任配置自体は必要となる。
工場製作を含む工事については、工場製作だけ行われている期間は監理技術者らの工事現場への常駐は不要とし、橋梁やポンプ、ゲート、エレベーター以外にも、発電機・配電盤など電機製品を含めた工場製作品の全般が対象となることを明確にした。
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