【建設工業新聞 9月7日 記事掲載】
新築住宅の売り主らに、欠陥が発覚した場合に備えた瑕疵(かし)担保責任の履行確保措置を義務付ける住宅瑕疵担保履行法の全面施行まで1カ月を切った。10月1日以降に引き渡す新築住宅については、瑕疵担保責任保険への加入や保証金の供託が必要になる。国土交通省が7月の着工戸数に対する保険加入状況を調べたところ、持ち家や分譲住宅の加入率が7割超と順調に伸びていたのに対し、賃貸住宅は3割程度にとどまった。供託で対応するケースもあるとみられるが、国交省は、賃貸住宅の方がトラブルが生じる可能性が高いと懸念しており、PRを強化していく方針だ。
住宅瑕疵担保履行法は、耐震偽装問題の再発防止策の一環として制定された。新築住宅の取得契約で住宅品質確保促進法(住宅品確法)が定めた基本構造部分に対する10年間の瑕疵担保責任が確実に履行されるよう、新築住宅の売り主に、そのための資力を保険加入または供託によって確保することを義務付けた。対象となる「新築住宅」の中には、マンションや一戸建ての分譲住宅以外に、賃貸住宅や公営住宅、官舎、独身寮、寄宿舎、グループホームなども含まれる点に注意が必要だ。半年に一度、資力確保の状況を行政に報告することも義務付けられており、これらの義務を怠った場合の罰則も設けられている。
国交省によると、7月末までの保険の加入戸数は累計約30・1万戸(速報値)で、このうち共同住宅は約13・9万戸(約5300棟)、一戸建て住宅は約16・2万戸となっている。保険加入は8月も増えているという。保険で必要になる検査の体制も整ってきた。現場検査員は全国で9329人が確保され、特定行政庁となっている553市区町村のすべてに2人以上が配置されている。申込窓口は、全国に3304カ所設置済みで、553市区町村のうち1団体を除いて設置が完了している。
供託の実施状況は、住宅瑕疵担保履行法に基づく報告の結果を集計しないと把握できないため、最初に対応状況の報告が行われる来年3月末にならないと分からない。国交省によると、マンション販売の低迷や不動産市況の悪化などを背景に、供託から保険へと切り替えるケースが増えているという。各種手続きなどを定める省令などは、書類の様式や保証金の還付手続きなどを定める省令が先月27日に公布され、すべてが出そろった。法律と併せて来月1日に施行される。
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