【建設工業新聞
2011年 6月 30日 記事掲載
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国土交通省は29日、11年度の建設投資見通しを発表した。総投資額は前年度比5・1%増の43兆2200億円となり、大型補正予算などの景気対策が打ち出された08年度以来、3年ぶりに増加すると見込んでいる。このうち政府投資は8・3%増の17兆9600億円となったが、東日本大震災の復旧事業の建設投資相当額を2兆4100億円と推計しており、震災の特殊要因を除いた推計では前年度並みの低水準。国交省は「今回の発表値には民間の復興投資は見込んでおらず、第2次以降の補正予算などで政府投資もさらに膨らむことが予想される」としている。今後、新たな財政措置が講じられた段階で11年度建設投資見通しを更新し、随時公表していく方針だ。
11年度の建設投資総額の建築・土木別内訳は、建築が23兆4300億円(前年度比5・2%増)、土木が19兆7900億円(4・9%増)。住宅投資は13兆8400億円(7・2%増)で、うち民間分は12兆8300億円(3・2%増)と予測した。
民間住宅着工戸数は所得水準の伸び悩みや建築資材価格の上昇のほか、震災の影響(建築制限など)といったマイナス要因が挙げられるものの、最近の経済対策の効果で一定程度の持ち直しが期待できるとしている。民間投資の全体額は25兆2600億円(2・9%増)で、住宅以外の非住宅建築・土木の投資額は12兆4300億円(2・6%増)と予測している。
政府建設投資に組み入れた震災関連の投資推計額には11年度第1次補正予算の財政措置までを反映させた。震災関連総額2兆4100億円の内訳は、建築分野が9200億円。うち応急仮設住宅や災害公営住宅の整備など住宅関係が5600億円、政府非住宅(合同庁舎、学校など)の災害復旧が3600億円となっている。土木は公共施設(河川、道路、港湾、空港など)の災害復旧分で1兆4900億円としている。震災復旧による建設活動が国内のマクロ経済に及ぼす影響を推計すると、11年度に名目国内総生産(GDP)を0・52%、実質GDPを0・45%それぞれ引き上げる効果があるとした。全産業への生産誘発効果は約4兆1000億円、雇用創出効果は約29万人と見込んでいる。
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