行政書士・北上事務所(兵庫県宝塚市)                                                                                北上事務所  ニュース

7〜9月ストアス価格、1トン9万円前後に/需要急拡大で安定供給も課題

【建設工業新聞  2011年  7月 12日 記事掲載 】

 

  道路舗装に使う合材の原材料であるストレートアスファルトを販売するディーラー各社が、原油価格の動向に対応して7〜9月の卸値を引き上げる。1〜3月比では20%ほどの上げ幅となり、ディーラーの販売担当者によると、9月ころには1トン9万円前後にまで上昇する見込み。東日本大震災の復興工事で下期には需要が大幅に拡大するとみられており、価格と供給の安定が大きな課題になりそうだ。


  ストアスの卸値はこれまで、各石油元売り系列とも四半期ごとに見直してきたが、JX日鉱日石エネルギーが4月から他社に先駆けて月単位の値決めに踏み切った。この結果、市場には「1カ月価格」と「3カ月価格」が混在。価格改定の足並みはそろっていないが、おおむね4〜6月は1〜3月比13〜14%程度の値上げとなったケースが多い。その後の原油価格の上昇を踏まえ、7〜9月はさらに6〜7%の値上げが行われる見込みで、結果的に1〜3月比では20%近い上昇となる。建設物価調査会の調査では6月現在のストアス価格は1トン8万5000円(東京地区)で、前月比で1万円上昇。これに7月以降の値上げ分を含めると9万円に達する。


  ストアスをめぐっては、大震災の影響で東北地区にある製油所から被災地に供給できない状態が続いている。このため、遠隔地からの陸送や海上輸送などで賄っているのが現状で、その分、コストが跳ね上がる要因になっている。国土交通省が先に発表した11年度の主要資材の需要見通しによると、ストアスの需要量は10年度の180万トンから225万トンに増える見込みで、業界には、「供給がひっ迫するのではないか」(ディーラー幹部)との声が多い。


  大幅な需要増が見込まれているにもかかわらず、「4〜6月は前年同期の8割も出なかった」(同)という状況にあり、例年以上に需要が下期偏重で推移するのは必至。そうなると、補正予算の編成で今後本格化する復興工事に必要なストアスを確保できなくなる可能性も出てくる。こうした状況に、ディーラー各社でつくる全国石油商業組合連合会アスファルト部会の比毛新太郎部会長(東進エナジー社長)は、「下期に増加する被災地での需要を考慮し、他の地域の需要を前倒しするなど舗装工事の平準化を推し進めてもらいたい」と話している。

 



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