【建設工業新聞
2011年 7月 27日 記事掲載
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国土交通省は、工事の進行状況に応じて代金を部分払いする出来高部分払い方式の利用を拡大するため、出来高の簡易な算出方法を導入する。鉄筋コンクリート構造物工事については、使用資材や部材の数量を積み上げて出来高を算出する従来の方法に代わり、コンクリートの打設数量を構造物全体の出来高とする仕組みを検討。工場製作が多くを占める鋼橋上部工事には施工上の区切りとなる段階ごとに出来高を設定する「マイルストーン方式」と呼ぶ仕組みを導入して出来高算出の簡素化を図る。
出来高部分払いは、工期が180日を超える工事が対象で、請負代金の40%以内を前金として支払った後、請負業者の請求に応じて出来高分の代金を支払う仕組み。国交省の調査(08〜10年度実績)によると、同省発注工事(営繕、港湾、空港工事を除く)の契約時に企業が選んだ支払い方法は、中間前金払いが6〜7割に対して、出来高部分払いが1〜2割程度。出来高部分払いを実施したのは2割弱にとどまっている。国交省は、26日に開いた「同省直轄事業の建設生産システムにおける公共事業の品質確保の促進に関する懇談会」の生産性向上部会に簡易な出来高算出方法として2種類を示した。今後、詳細を固め、年内に導入する。
鉄筋やコンクリート、足場、型枠、支保工などの数量を積み上げて出来高を算出している鉄筋コンクリート構造物(橋脚、BOXカルバートなど)のような構成が複雑な工事については、従来方法に代わり、コンクリート打設数量率を構造物全体の出来高率と見なし、過払いを避けるために一定率を差し引いて出来高額を計算する簡易な方法を取り入れる。
一連の作業が多岐にわたる鋼橋上部工事などを適用対象として想定しているのがマイルストーン方式。こうした工事では従来、〈1〉鋼材の工場納品時点〈2〉現場への部材搬入時点〈3〉部分的な架設工・床版工の完了時点〈4〉鋼材以外の二次製品の現場搬入時点−の4段階で出来高計算(数量×単価)をしていたが、新方式では、〈2〉と〈3〉の間に、部材として組み立てられた時点と各部材で仮組み立てされた時点の二つの段階を設定し、工場製作工×定率(例えば部材組み立て時点80〜85%、各部材仮組立時点100%)で出来高を算出する。
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