【建設通信新聞
2011年 7月 28日 記事掲載
】
国土交通省は27日、中央建設業審議会(会長・石原邦夫東京海上日動火災保険取締役会長)を開き、「公共工事の入札および契約の適正化を図るための措置に関する指針(入札契約適正化指針)」の改正案を審議し、了承した。建設産業戦略会議の提言を踏まえ、地域維持型JVや段階選抜方式の導入のほか、予定価格・調査基準価格・最低制限価格の事後公表、価格による失格基準の導入などこれまで指針で示していた努力義務の内容も「入札前には公表しない」と文言を強化する。今後、関係各省との協議を経て、早期に閣議決定する予定だ。
審議会では、地域維持型JV導入に向けた準則改正や業種区分点検、保険未加入企業排除の具体策、法令改正事項の検討のため、ワーキンググループ(WG)の設置も決めた。WGの検討事項は、社会資本整備審議会の調査審議事項とも関係するため、同審議会の下部組織と合同での調査審議を検討する。
指針の改正では、調査基準価格と最低制限価格について、入札前の公表が入札行動をゆがめていることから、弊害が起きないよう求めていた文言を、「入札の前には公表しない」と明記した。予定価格についても、調査基準価格や最低制限価格を類推させるため、入札前には「公表しない」とした。調査基準価格は、落札率と工事成績の関係を踏まえた見直しを求め、一定の価格を下回る入札を失格にする「失格基準」を積極的に導入・活用するよう努力義務の内容を強化。
ただし、入札関係職員から予定価格などを聞き出そうとする不正行為の抑止のため、不当な働き掛けや口利きがあった場合に記録・報告・公表する制度の導入もあわせて記述した。
現在は、「拡大・拡充」を求めている一般競争入札と総合評価落札方式は、両方式のメリット・デメリットを記載し、「適切な活用」を促す。「段階選抜方式」は、発注者と競争参加者の双方の事務量を軽減する方法として提示している。
地域維持型の契約については、社会資本の維持管理や除雪、災害応急対策など地域維持事業の担い手確保が困難になる恐れがある場合に活用する方法として示し、実際に必要な経費を適切に計上した上で、複数の種類・工区を包括的に発注する「複数年一括発注」と、地域維持型JVの採用を盛り込んだ。基本的な考え方として、発注機関に単体と地域維持型JV、地域維持型JVと経常JVでの同時登録を可能とした。
積算に基づく設計金額を控除するいわゆる「歩切り」は、「厳に慎む」としていた文言を「行わない」と、さらに強く禁止を求める文言にした。
このほか、保険未加入など建設業法そのほかに関係する法令を順守しない企業を、不良・不適格業者の定義に加え、建設工標準請負契約約款の改正に合わせた受発注者間の対等性確保も求めた。
|