【建設工業新聞
2011年 8月 22日 記事掲載
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工事発注に低入札価格調査制度を導入している都道府県のうち、調査基準価格より一定額以上低い入札を失格とする「数値的失格判断基準」を設定している自治体では、低価格入札の排除割合(排除率)が未設定の自治体に比べ高いことが国土交通省の調べで分かった。調査によると、4分の3の自治体が数値的失格基準を設定。排除率は、設定済み自治体の約44%に対し、未設定自治体は約15%だった。国交省は数値的失格基準の設定が低価格入札の排除に効果があるとして、未設定の自治体にも積極的な導入を要請する。
政府は今月9日に公共工事入札契約適正化法に基づく入札契約適正化指針の改正を閣議決定。その中で公共工事の行き過ぎた安値受注に歯止めを掛ける施策の一つとして、低入札価格調査制度の導入や、同制度での数値的失格基準の設定と基準額の引き上げを求める文言を盛り込んだ。国交省が都道府県に実施した調査(10年度)によると、すべての都道府県が低入札価格調査制度を導入。数値的失格基準については、36都道府県が設定しており、未設定が11府県(埼玉、神奈川、石川、長野、京都、奈良、和歌山、福岡、長崎、宮崎、鹿児島)だった。
低入札価格調査の基準額を下回る入札があったのは、全都道府県で合計5211件。うち低入札が排除された案件は2226件と全体の42・7%を占めた。さらに、2226件のうち、数値的失格基準に基づいて低入札が排除された案件は1630件(73%)だった。低入札が排除された割合を、数値的失格基準の「あり」と「なし」で比較すると、「あり」の場合は44・2%、「なし」の場合は15・9%となり、「あり」の場合には排除率も高い傾向にあることが分かった。
ただ、国交省によると、低入札価格調査の基準額を予定価格の85%で設定している場合、数値的失格基準は同70%程度とする自治体が多いが、中には同50%と極端に低い失格基準を設定している自治体もある。調査基準額と失格基準の間の開きが大きいほど、低価格で落札できる可能性も高まることから、国交省は今後、自治体に対し、失格基準を調査基準額に近づけるよう引き上げも求めていく考えだ。
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