【建設工業新聞
2011年 8月 23日 記事掲載
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国土交通省は、東日本大震災で被災した建設業者のうち、特に被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県に主たる営業所を置く企業を対象に、建設業許可や経営事項審査(経審)の有効期間を再延長する検討に入った。震災発生直後、3月11日以降に切れる建設業許可や経審などの有効期限を8月末まで延長する措置を講じたが、3県では更新が必要な業者がいまだ多く、復旧工事を円滑に進める上でも再延長が必要と判断した。延長期間は来年2月末までとする。8月中に閣議で政令を決定、告示する。
国交省は、特定非常災害法が適用された市町村で被災した企業が、事業を継続する上で必要な建設業許可や経審などの手続きを行うことが難しくなるケースを想定。3月23日付で岩手・宮城・福島・茨城各県の全域と青森・栃木・千葉・新潟・長野各県の一部区域の被災企業を対象に、建設業許可など17件の許認可の有効期限を8月31日まで延長する措置を講じた。
国交省によると、岩手、宮城、福島の3県で建設業許可を取得している企業は約2万社。うち8月末までに更新が必要な企業が約2700社あるが、7月20日時点で更新済みは約1600社にとどまっている。残る約1000社は、津波による営業所の流失などで元の場所での再建ができず、営業所の場所を移せば元の地域での受注ができなくなる恐れもあるため許可更新を行っていないとみている。さらに更新に必要な財務関係資料が流失するなどして提出できない企業もあり、建設業許可だけでなく、経審の更新も滞っている可能性が高いという。他の6県では17件の許認可が順調に進行。3県でも建設業許可や経審など4件以外の手続きについては地元自治体の行政指導で対応できている状況という。
国交省はこれらの状況を勘案。今回の再延長措置では、対象地域を許可更新などが滞っている企業が多く存在する岩手、宮城、福島の3県に限定した上で、8月末までに期限切れとなる17件の許認可手続きのうち、▽建設業許可▽経審▽解体工事業登録▽浄化槽工事業登録−の4件に絞って再延長措置を行う方向で調整している。3県にある企業の建設業許可などの期限が切れてしまうと、今後本格化する復旧・復興工事に支障を及ぼしかねないと判断した。
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