【建設通信新聞
2011年 8月 29日 記事掲載
】
国土交通省は、被災した建設業者による建設業許可の更新と経営事項審査における運用上の取り扱い方針を固めた。2013年3月末までの許可更新申請と経審は、被災によって直前の決算の財務諸表が提出できない場合、存在する直近の財務諸表を使うことを特例的に認める。許可の更新に必要な営業所の所在地については、仮移転先の報告を求めた上で、13年3月末までは元の営業所所在地を許可上の営業所と見なす特例措置を設ける。8月30日にも全国の地方整備局と都道府県に通知する。
建設業許可と経営事項審査は、岩手、宮城、福島の3県に主な営業所を置く企業の有効期間を12年2月29日まで延長した。ただ、建設業許可と経営事項審査に必要な財務諸表が流失して、更新できない企業があり、延長期間以降の運用上の取り扱いが課題となっていた。岩手、宮城、福島の3県に主な営業所などを置く、許可更新が必要な企業のうち900社程度が7月末で未更新になっている。
特定建設業の許可を更新するためには、資本金や自己資本金の額など8000万円以上の請負を履行できる財産的基礎を証明するため、直前の決算期における財務諸表が必要となる。経審の審査を受けるためにも、決算書類が必要となる。
13年3月31日までの許可更新申請について、直前決算期の財務諸表が提出できないと認められた場合は、確定している最新の財務諸表での審査を認める。最新の財務諸表上、資本金額など許可に必要な財産的基礎を満たさない場合でも、前々期の財務諸表による審査を認める。前々期の財務諸表が財産的基礎を満たしていた場合は、1年後には財産的基礎を満たすなど一定の条件を設け、許可する。
例えば、3月末が決算期末で被災して書類がなくなった企業であれば、09年度の決算における財務諸表で更新の審査を受けることができる。09年度が財産的基礎を満たしていなければ、08年度の財務諸表で審査が受けられ、一定の条件を設けて更新が認められる。
営業所は、許可で主たる営業所の場所を移転すると、地域要件などの関係で元の場所での公共工事が受注できなくなる恐れがある。このため、まず、震災で営業所を仮移転しており、元の場所に戻って営業する意志がある企業には、仮移転先の報告を求め、13年3月31日までは許可上の営業所が元の所在地にあるとみなす。ただし、12年度中に元の場所に実際に戻る必要がある。
13年3月31日までを審査基準日(決算日)とする経審についても同様に、被災で直前の決算期の財務諸表が提出できない場合、直近で受けた経審の数値で審査を受けられる。特例で直前の決算期の財務諸表を提出しなかった企業は、次回以降の経審も確認可能な決算期だけの数値で受審できる。ただし、技術者数など財務諸表によらない数値については、可能な限り実情のデータの提出を求める。
特例の対象は、被災3県以外を含む「被災した建設業者」としている。
|