北上事務所 ニュース |
|
下請の保険加入徹底へ調査/国交省・12年度予算概算要求 |
|
【建設通信新聞 2011年 10月 5日 記事掲載 】 |
|
国土交通省は、下請け企業の社会保険加入徹底に向け、建設業関係団体による保険加入確認方策を検討する。実態確認ができていない「一人親方」についても就労状況を調査する。基幹技能者配置による効果の調査も予定している。それぞれの調査費として、「建設技能労働者人材確保・育成促進事業」4000万円を2012年度予算の概算要求に盛り込んだ。認められれば、いずれも12年度末までに調査結果をまとめる。
建設業では、技能労働者の高齢化や若年入職者の減少が問題となっており、現場で中核的な役割を担う技能労働者の確保・育成が急務だ。社会保険への加入など労働環境の改善や中核的技能労働者の適正な評価が不可欠とみられる。建設産業戦略会議の提言では、保険未加入の排除を掲げ、企業単位で加入率100%、労働者単位で製造業並みの加入率という目標を示した。
12年度予算の概算要求では、下請けの建設業団体が労働者単位の保険加入状況を確認する方策を探る調査費を盛り込んだ。国交省は、保険未加入企業排除方策を検討するため、10月以降に検討会を設置する考えを9月30日の「中央建設業審議会・社会資本整備審議会建設部会基本問題小委員会」で示していた。ただ、検討会は、政令に基づく元請けによる下請けの指導や再下請通知書を使った下請けによる再下請先の加入状況のチェックといった、政令上の未加入企業排除方策を検討する。
一方、政令による確認制度だけでは、下請けの労働者単位の保険加入状況確認は難しい面があるとみられている。このため、12年度の調査では、下請けの建設業団体によるデータベースの作成や保険加入の登録など、団体が関連企業の加入状況を確認する仕組みについて検討する。団体などに具体策の提案を求め、有識者を交えた会合などで検討する予定だ。
さらに、行政や企業、団体での取り組みでは「一人親方」の保険加入確認が難しいのが現状だ。このため、一人親方の就労形態や保険加入状況、重層下請構造の実態も調査する。実際の現場を抽出して就労状況を確認する見通し。
中核的な技能労働者確保に向けては、基幹技能者を適正に評価し、活用を広げる方法が有効とみられる。ただ、基幹技能者を配置することが、現場の生産性向上などにどれほど効果があるか、明確になっていないのが現状で、普及拡大の課題となっている。12年度の調査では、基幹技能者の配置効果を明確にするため、企業などからヒアリングする。明らかになれば、発注者や元請けによる基幹技能者活用拡大や、手当てによる処遇改善などにつながるとみている。
|