北上事務所 ニュース |
|
工事落札率−都道府県で2年連続上昇/10年度入札契約状況/国交省 |
|
【建設工業新聞 2011年 12月 6日 記事掲載 】
|
|
国土交通省が10年度に発注された同省直轄工事(8地方整備局契約分)と47都道府県工事の平均落札率(速報値)を調査した結果、都道府県発注工事の平均落札率は前年度より0・3ポイント高い89・7%と、2年連続で上昇したことが分かった。国交省は自治体に対してこれまで、契約部門の担当者らが集まる監理課長会議などを通じ、ダンピング対策として低入札価格調査の基準価格引き上げなどを再三要請。こうした取り組みが効果を上げたとみている。
都道府県発注工事の平均落札率の推移をみると、02年度の時点では94・7%という高水準にあったが、建設投資が減少し始めた03年度以降は毎年度低下を続けた。07年度には88・5%と90%を割り込み、08年度には88・2%まで下がった。国交省直轄工事も傾向は同じで、発注工事量が急減したのに伴い、02年度の95・3%から06年度には88・8%へと急落した。
落札率低下の背景には、少なくなる工事の受注をめぐって価格競争が激化したことがある。行き過ぎた価格競争は工事の品質や安全などに悪影響を及ぼしかねないため、国交省はこうした傾向に歯止めをかけようとダンピング防止策を導入。09年度に低入札価格調査の基準額の設定範囲を、それまでの「予定価格の3分の2〜85%」から「70%〜90%」に引き上げた。国の発注機関などで構成する中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)も同省の取り組みに準じて低入札価格調査の基準額モデル(09年度モデル)を改正。自治体に対して地域の実情に応じて調査基準価格や最低制限価格を設定するよう求めていた。
国交省は、ダンピング対策の強化策としてさらに11年度には、調査基準価格の設定範囲は変えず、現場の管理実態を踏まえて基準額算定式に入れる現場管理費の割合を改定。中央公契連もこれに準じて基準額モデル(11年度モデル)を再び改正している。今回の調査では、北海道、宮城、山形、栃木、新潟、佐賀、宮崎、沖縄の8道県が調査基準価格などを中央公契連モデル(11年度モデル)より高い水準に設定。公契連モデルを採用、またはモデルに準拠している自治体も計27団体あり、8割を超す団体が11年度モデルと同水準以上に見直していることが分かった。
|