北上事務所 ニュース |
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下水道管理/資源・エネの最適化検討/高度処理導入を推進/国交省
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【建設通信新聞 2012年 8月 21日 記事掲載 】
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国土交通省は、新しい時代の下水道管理の実現に向けた検討を開始した。各水域における水質改善といったこれまでの施策に効果が表れる一方、更新時期の集中や人口減少など、社会的要請に応じた高度処理の推進や流域全体での資源・エネルギーの最適管理を検討していく必要性が高まっている。このため、10月以降、個別テーマの議論を進め、2012年度内に検討成果をまとめる予定。
検討のたたき台として整理した論点のうち、高度処理の推進に関しては、「国の顔」とも言える水域を対象に戦略的に水環境を改善していく必要がある。例えば、東京、名古屋、大阪を中心とする3大都市圏は、人口の占める割合が高いにもかかわらず、高度処理が進んでいない個所もあり、水質改善が十分に進んでるとは言い難い。このため、重要水域の高度処理を国家的なプロジェクトとして推進する必要性を指摘した。
また、下水道施策の根幹を成す流域別下水道整備総合計画は、計画制度の創設から40年が経過しており、時代に応じた見直しが求められている。同計画は策定に膨大な時間を要するうえ、時間の経過とともに水域の状況が実態と乖離(かいり)する場合がある。人口減少下では将来の予測自体も難しい。こうした理由から、策定期間や見直し間隔を短縮するなど、機動的な対応を検討していく考えだ。
さらに、環境負荷を軽減させるため、流域全体で資源・エネルギーの最適化を図る必要もある。下水道普及率が向上するにつれ、電力消費量が増大し、維持管理費に占める電力費の割合は1割程度を占め、下水道施設が使用する電力割合は水処理が半分程度と最も高い。さらに、これまでの汚泥リサイクルは、汚泥の減量化に主眼が置かれており、エネルギー再利用率は1割程度と低い状況にある。
このため、温室効果ガスの削減、省エネルギー対策など社会的ニーズを考慮した創エネルギーに取り組むことが求められる。このほか、琵琶湖流域で見られる国交、環境、農林水産の各省と滋賀県などが連携している事例も踏まえ、下水道以外の主体との連携策も検討していく。
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