北上事務所 ニュース |
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厚生年金基金/9割解散へ法改正/厚労省 事業主負担は半分に
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【建設通信新聞 2013年 4月 3日 記事掲載 】
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厚生労働省は2日、既存の厚生年金基金の9割を解散させる、「公的年金制度の健全性及び信頼性確保のための厚生年金保険法等の一部改正法律案」を自民党の厚生労働部会に提示した。これまで義務付けられていた代行割れ基金解散後の分割納付の「事業所間連帯債務」を廃止するほか、代行割れ基金が国に代行返上する納付額が結果的に少なくなる新たな特例制度を創設するのが特徴。これまで地方建設業経営者の頭を悩ませていた、代行割れ基金の解散に伴う事業主負担額も、新たな特例制度によって従来計算の半額程度になる。開会中の今通常国会に提出し、最短では2014年4月から施行となる。
厚労省がまとめた改正法案は、自民党など与党からの反対を踏まえ、これまでの562すべての厚生年金基金を強制的に解散させる方針を、基金が財務体質面から健全と判断する代行部分に対する積み立て比率が1・5以上の約1割の基金を存続と認める考えに転換した。
一方、約4割の代行割れ基金は、代行返上額を企業が分割納付する場合、事業所間の連帯債務をやめるほか、分割納付の最長納付期間を現行15年を30年まで延長、さらに代行返上額の根拠である最低責任準備金額の算定計算を変更し企業負担額を減らす新たな特例制度を導入することで、改正法施行から5年以内に解散させる。
また、代行部分の積み立て比率が1・5以下の“代行割れ予備軍”と言われる約5割の基金は、年金の3階部分(独自給付)を確定給付型企業年金や確定拠出年金、中小企業退職金共済に移行させ、厚生年金基金は解散させる。さらに、早期解散時期の5年以降に代行資産の基準を満たしていない厚生年金基金は、厚労大臣が解散命令を発動させ強制的に解散させる。
建設産業界では、設計・コンサル、元請け、設備などが業界団体を母体にした厚生年金基金が70以上あるが、新たな厚労省政策によってほぼすべてが解散を余儀なくされる可能性が高い。
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