北上事務所 ニュース |
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保険未加入、じわり包囲網/国交省、建専連が意見交換
【1次下請の責任・役割より重く】
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【建設通信新聞 2013年 7月 31日 記事掲載 】
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社会保険未加入企業に対して、官民挙げた包囲網が敷かれつつある。日本建設業連合会(日建連)が労務賃金改善と、積算された技能労働者の事業主・個人負担分合わせた社会保険料を1次下請けに支払い、2次以下までの賃金支払いの状況まで把握することを決めたほか、国土交通省など許可行政庁も、建設業許可・更新時に未加入企業への指導を開始した。国交省は30日の建設産業専門団体連合会(建専連)との意見交換会で、加入指導を拒否する未加入企業への営業停止にも言及。元請けも今後、保険未加入企業への指導を強めるのは確実で、社会保険加入対策を進める環境が整いつつある。
建専連は、6月13日の北陸地区を皮切りに全国10地区で行った国交省地方整備局などとの意見交換を締めくくる形で、30日に行われた国交省本省との意見交換会で、「不適格業者(社会保険未加入企業)の明確な排除が示されていない。未加入企業の経審(経営事項審査)減点だけでなく、入札に参加させないことを検討すべきだ」と詰め寄った。
保険未加入企業に対する明確な入口制限を求める声に対し、同省は「経審減点だけでなく、建設業許可・更新時の指導も開始している」と説明した。
昨年11月から開始した具体的対応では、国交省や都道府県など許可行政庁が許可と許可更新時、保険未加入が判明した企業に4カ月以内に保険加入を促す指導を行い、加入しなかった場合に2カ月以内に文書で指導書を未加入企業に発出する。
さらに指導書を受けても加入しない場合は、厚生労働省に通報、厚労省が保険加入の指導を行う。それでも加入しない場合には国交省が業法に則り指示処分を行う。
さらに国交省は建専連に対し、「指示処分に従わなければ営業停止に踏み切ることになる」と明言した。
既に専門工事業の会合でも、許可行政庁の社会保険加入指導は、「本来、建設業許可がいらない小規模工事を請け負う下請けも、業許可がなければ受注できない。今後、保険未加入企業は許可更新も拒否されるのではないか」などの動揺が広がっていた。
また日建連が策定した労務賃金改善推進要綱によって、大手・準大手の元請企業を中心に、今年度の公共工事設計労務単価に連動して労務賃金アップと社会保険加入費を1次下請けに支払う動きも、社会保険料支払いを求めてきた建専連にとっては追い風になる。ただ元請けは、技能労働者の賃金アップと保険加入費用を1次下請けに支払い、それが末端まで支払われているかどうか調査するため、1次下請けの役割と責任は非常に重くなる。
そのため30日の意見交換会後、建専連幹部は「社会保険料をもらうための標準見積書の浸透はやればやるほど深み(難しさ)にはまる。しかしやらなければならない。これからが1次下請けの正念場だ」と打ち明ける。
この日の意見交換では、建専連から社会保険未加入対策のほか、登録基幹技能者の積極的活用・評価、請負代金の適正支払い、適正工期確保について要望と問題提起がされた。
このうち、来年に更新を迎える登録基幹技能者の評価について、地方整備局ごとに評価内容や対象職種などがばらつきがあるとの問題指摘を受け、国交省は、「これまでは試行。試行結果を検証し整理したい」と応えた。
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