北上事務所 ニュース |
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全中建/適正労賃支払いへ活動強化/市町村の積算実態調査
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【建設通信新聞 2013年 8月 19日 記事掲載 】 |
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全国中小建設業協会(松井守夫会長)は12日、技能労働者の適切な賃金確保と社会保険加入促進活動を強化する方針を決めた。活動強化内容については9月4日の理事会で正式決定し、活動を開始する。全中建は太田昭宏国土交通相からの要請を受け、5月29日に、適正労賃支払いなど4項目に取り組むことを決議していた。今回の活動強化方針は、これを具体化させるもの。
12日の正副会長会合後、松井会長は「9月4日の理事会で今回固めた具体的取り組み内容が承認されれば、すぐに活動を始めたい」とした。
具体的な活動は(1)会員団体や会員企業との意見交換を通じた「労賃確保・支払い」「社会保険加入促進」「適正価格での契約締結」のさらなる周知徹底(2)市町村の新設計労務単価採用や歩切りなどの現状と会員企業への浸透状況を対象にした調査・ヒアリング(3)建設業振興対策委員会と労働資材対策委員会の合同委員会での取り組み検討−−が柱。調査結果は国交省に提出する。
このうち、市町村の新労務単価採用状況調査について松井会長は、「できる限り早く着手したい」と前向きな姿勢を見せる一方、「市町村が新労務単価を採用しているのかどうかの判断と、歩切りの内容をきちんと把握するのは難しい」と調査結果の分析・公表に時間がかかる可能性も示唆した。今年度末までに一定の調査結果をまとめる予定。
国交省など国が今年度公共工事から採用している新労務単価について都道府県、政令市は採用しているが、市町村単位で採用されているかどうかは、「地元業界としてまだ把握していない」(複数の全中建幹部)状況。
さらに、「市町村発注者から歩切りによって予算を削減しているとはっきり言われた」(全中建幹部)というように、市町村が国交省や都道府県の新労務単価を採用していても、歩切りによって結果的に全国平均15.1%引き上げられた新労務単価が実質上反映されない可能性があることも問題を複雑にしている。企業が、個別案件で歩切りの有無や歩切り額を把握するのが難しいことが理由だ。
新労務単価の反映と歩切りについては、既に国交省が地方自治体に対する調査を行うことを決めている。今後の全中建調査で、会員企業が受注する市町村での新労務単価反映と歩切りとの関係が浮き彫りになれば、国交省や総務省が行う歩切り防止要請の追い風にもなりそうだ。
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