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東京五輪に問われるもの/成熟都市の今後を提示/建設産業界、7年間の市場確保

 

【建設通信新聞  2013年  9月 10日 記事掲載 】

 

  2020東京五輪が東京、日本にもたらすものは、オリンピック関連の直接投資とその経済波及効果だけにとどまらない。


  最大の効果は、安倍政権が打ち出す3本の矢、いわゆるアベノミクスの最終目標である「デフレ脱却」「日本経済再生」へ向け実需要だけでなく、56年ぶりに日本で夏季オリンピック・パラリンピックが開かれることで国民や企業に高揚感がもたらされるという心理的側面での好影響だ。


  日本経済はバブル崩壊後、デフレと円安・株安・債券安というトリプル安の中、経済全体の縮小が税収減と財政赤字を拡大させ、日本全体が縮小する負の連鎖に陥っていた。この縮小による負の連鎖が公共事業不要論・悪玉論に転換され、建設産業界もダンピング(過度な安値受注)と労務単価の長期下落を招き、企業・産業界の疲弊につながった。


  今回、東京開催が決定したことで、建設産業界には2つの好影響を与えることは確実だ。


  1つは施設整備にとどまらず、「24時間」「安全・安心」「効率」「環境」などをキーワードにした、鉄道、道路など交通網を始めとするインフラへの投資加速といった潜在的投資需要の顕在化がある。首都高など既存高齢インフラへの対応が代表例といえる。


  2点目は、少なくとも顕在化する潜在需要を含め、7年間の市場が見通せることだ。内需最大地域である東京の需要拡大は、全国各地の設備投資意欲の向上にもつながる。また安倍晋三首相の、福島の汚染水防止確約だけにとどまらず、震災復興も確実に進むことは間違いない。


  ただ半面で、事業増加と五輪開催という期限制約によって、いまも問題視されている、資材・技能労働者不足がさらに鮮明になる可能性は高い。新規に人材を確保する場合、30年以上の固定経費と、今後7年間という短中期の集中事業との見合いへの経営判断が難しいこともある。


  一方、7年後の東京五輪で忘れてならないのは、東京が経済成長を遂げながら、世界でいち早く少子高齢化に直面する「成熟都市」のあり方を発信する機会になっていることだ。


  生産年齢人口の増加が最終的にGDP(国内総生産)増と経済成長につながる従来モデルとは違う、成熟都市としてのあり方を提示する場にもなり得る。


  そのため、2020東京五輪の経済波及効果など景気動向的な視点だけに目を奪われるのではなく、インフラ整備進展に伴って経済成長と発展を続けた日本と東京が、少子化と、経済成長の基盤でもあるインフラの高齢化にどう対応し、成熟都市・東京の今後を世界に発信できるかという側面が、2020東京五輪にあることも忘れてはならない。

 
 
 
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