【前ページに戻る】  
全文検索 AND OR

 

北上事務所  ニュース 

 

建設業の給与総額上昇/13年1・5%増、労務単価引き上げ浸透か/厚労省統計

【建設工業新聞  2014年  2月 25日 記事掲載 】

 

  建設業に就業している人の給与が上昇していることが、厚生労働省が毎月発表する統計調査データで分かった。従業員5人以上の建設業の事業所が昨年支払った現金給与総額は月平均で37万1213円と前年比で1・5%増(全産業では0・0%増)となった。1月から12月までの毎月の推移を見ても、3月以外はすべて前年同月を上回る水準。国土交通省が業界に技能労働者の賃上げを求めてきた成果が出始めているようだ。


  厚労省が発表する毎月勤労統計調査から関連データを抜き出すと、00年以降、建設業の現金給与総額が前年を上回ったのは、00年、04年、06年、07年、11年で、13年は前年の1・9%減から一転、再び増加となった。13年1月から12月までの間、建設業では3月を除いてすべて前年同月を上回ったが、製造業では1月から6カ月連続、さらに8月も前年同月を下回った。建設業や製造業を含めた全産業の合計では、2、3、5、7、8、9、10の各月がマイナス。これらのデータから、建設業では、他産業を上回る率で給与を引き上げている現状が見て取れる。


  建設就業者の中でも特に工事現場で施工に従事する技能労働者に支払われる賃金をめぐり、国土交通省は13年4月から適用された公共工事設計労務単価を過去最大幅(全職種全国単純平均で15・1%、東日本大震災の被災3県〈岩手、宮城、福島〉で21・0%)で引き上げた。同時に太田昭宏国交相が業界団体トップに対し、技能労働者の賃上げの実行を直接要請。引き上げた単価が現場の末端まで浸透するようさまざまな対策を講じてきた。厚労省の調査結果は、こうした取り組みの成果が表れ始めたことを裏付けた格好だ。特に、職別工事では、給与の伸び率が業種平均を上回っており、東日本大震災を経て鉄筋や型枠といった専門職種で不足する人材を賃上げを通じて確保しようとしていることをデータが示した。


  国交省は、この2月からさらに、設計労務単価を全国平均で7・1%、被災3県で8・4%引き上げた。これに合わせ、予定価格の算定に最新単価を用いるよう公共発注機関に要請。民間工事の発注者にも、技能労働者への適正水準の賃金支払いに協力するよう求めている。


  建設業界内には、市場の長期低迷で失われた人材が、「魅力ある賃金を提示すれば戻ってくる」とみる意見が多い。技能労働者への適正賃金の支払いは、政府が最大の課題の一つとしている円滑な事業執行を確実なものとする上でも不可欠。そのために、再度引き上げられた労務単価を浸透させ、全産業平均を大きく下回る建設業の給与水準を適正化できるかどうかが大きな鍵になる。

 
 
 
日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら
 

戻 る


【北上グループ 行政書士北上事務所 法令労務協会 株式会社ピーケーアイコンサルティング】
兵庫県宝塚市安倉北3丁目5番18号 TEL:0797-84-1340
サイトマップ プライバシーポリシー

営業エリア: 宝塚市、川西市、猪名川町、伊丹市、尼崎市、西宮市、芦屋市、三田市、池田市、神戸市、大阪市、京都市 他
Copyright Kitagami Gyoseishoshi Lawyer's Office. All Rights Reserved.